皆様こんにちは。リニューアル後、最初の「上高地コラム」をお届けします!
上高地の用語解説シリーズ、今回は「河童橋」です。
ここから見える景色は上高地を代表する風景であり、観光地としての上高地の中心地ともいえる場所。そのため、上高地のお土産やイラストなどでも「河童」がよくモチーフとして使われます。
芥川龍之介「河童」の舞台としても登場する上高地。…私は上高地に10年いながら一度も河童に会えていませんけれども、そもそもなぜこの橋は「河童橋」なのでしょうか?
「なぜ河童橋という名前なんですか?」というのは上高地で非常によく聞かれる質問のひとつであり、その割に、簡単に答えるのが難しい質問でもあります。
なぜなら「諸説あって定かではない」からです。
・橋がなかった頃に川を歩いて渡る際、脱いだ服を頭に乗せている様子が河童に見えたから
・川が深くなっていて、河童が出そうな場所だから
などの説が有力なのでは?と言われていますが、実際のところは分かっていません。文献によれば「上高地橋」と呼ばれたりもしていたようです。
吊り橋としての河童橋ができたのは、1910(明治43)年のこと。それ以前には「はね橋」という構造の橋が架かっていました。(真ん中から開くタイプの「跳ね橋」ではなく、両岸から板を渡して橋脚を立てずに架けるタイプの「刎橋」)
はね橋が作られたのは1891(明治24)年…という説もあるのですがこれにはやや疑問もあるため、初代吊り橋が架かった1910年の方を河童橋の始まりとして扱うことも多く、2010年には「河童橋吊り橋100周年」を記念してイベントも行われました。
なお現在の河童橋は、1910年に架かった初代から数えると5代目。1997(平成9)年に架け替えられていますので、今年で20周年になります。
橋としてはさほど大きなものではなく、全長は36.6m、幅は3.1m。記念撮影でごった返す時期や時間帯には渡るのも一苦労という感じではありますが、それだけたくさんの人を支えながら暴れ川に架かり続ける、しっかりとした橋です。
なお、これは開山祭で鏡割りをしている時の写真ですのでごったがえしていますが、いつもはここまで混んでいませんのでご安心くださいね!
なお、上高地にかかる橋には、吊り橋などの橋脚のない橋が多いです。
山岳地域の川ですから、かなり増水し、さらには流木がどんどん流れてきます。というわけで、川の中に橋脚がない方が都合が良いんですよね。
そして、シンプルな構造の橋かと思いきや、橋を下から覗いてみると意外と色んな構造物があります。…それはぜひ、現地で見てみてくださいね。
最後に、河童橋で写真を撮る時のちょっとしたコツをご紹介します。
メインの背景である穂高連峰を入れて撮る場合には、橋の中央よりも五千尺ホテル側の岸に寄る方が写りやすくなります。また、橋に乗ってしまうと「吊り橋のワイヤーが大きく映ってしまう」「橋が揺れる」「人が歩いていて落ち着いて撮れない」等の悪条件もあるので、橋の上から少しずれたこの辺りが、実はベストスポットです。
夜になると河童橋の上から星空の写真を撮っている方をお見掛けすることもありますが、シャッターを長時間開けてる撮影では、吊り橋の揺れがかなり響いてしまいますので要注意です!
上高地のメインスポットのひとつ河童橋。「有名な場所に来た!」だけではなく、少し違った目線で見ていただけると、ちょっと楽しくなるかもしれませんよ。
さくら