冬季休業中は、上高地にまつわる色々を語る「上高地コラム」をお届けします。
上高地閉山から今日で二週間。
普段は標高1,500mで暮らしている我々も、冬季休業中は標高600mの松本市街で暮らします。
まぁ600mというのも決して低いわけではありませんが……それでも下りてきた直後は、暖かく感じたり、ちょっと息切れしにくくなったりと、少しだけ高標高地暮らしの恩恵を受けられます。
……もうそろそろ、順応して元に戻ってきましたけども。
さて本日の上高地コラムではそんな、上高地の標高のお話です。
上高地の標高は1,500m。
河童橋畔「五千尺ホテル」は、1,500mが約5,000尺であるところからの名づけで、我々FIVESENSEのFIVEもこの5から取っています。
「アルプス一万尺」の10,000尺は3,000m(ちなみに「小槍」は槍ヶ岳3,180mの頂上付近にあります、頂上は「大槍」)。上高地はちょうどこの半分の標高ということになりますね。
標高が違うとまず、気温が違います。
標高が100m上がると気温は0.6℃下がると言われていますので、上高地は海抜0mの場所と比べると単純計算で9℃低くなることになります。
旅先の気温ってなかなか想像しにくいですよね。時期ごとのだいたいの気温が知りたい方は、服装アドバイスページをどうぞ。
シーズン中は、ライブカメラ(現在冬期休止中)に映っている人の服装をチェックする、という方もいらっしゃいます。
植物の種類も平地とは違っていて、
こういう景色や
こういう景色は、寒いところならではですね。
上高地は植生帯でいうと「山地帯」と「亜高山帯」の境にあり、平地でもよく見るような植物と、やや高い山の植物が混在しています。
……というような話は、「Discover Kamikochi~上高地を学ぶ~」第3回、1月25日「樹木」の回で詳しくお話ししますのでご興味のある方はぜひ!
標高によって変わるものには、気温のほかに気圧もあります。
標高1,500mだと、海沿いの85%程度の気圧になる計算です。実際気圧計で計ると850hpaくらいのことが多いので、ほぼ計算通りのようですね。
普通に過ごしていて空気が薄く感じるほどではありませんが、上高地で13年過ごして今までに2人、高山病のような症状が出るという方に会ったことがあります。
そこまでひどくなくても、走った時に息切れがする、疲れやすい、お酒が回りやすい、というのはよく聞く話です。それから、上高地へのバス移動中に耳がきーんとなる、という人も。
上高地は、穂高連峰、槍ヶ岳など、北アルプスの山々の登山口でもあります。
山の上では標高3,000mを超えるので、あまり短時間で一気に移動してしまうと、頭が痛くなるなどの症状が出る場合もあります。
こまめに水分補給をし、ゆっくり休憩をとったりしながら、無理なく登ってくださいね。
昔は、山ではご飯を美味しく炊けない、なんて話もありました。
気圧が低いと水の沸点が下がって、充分な高温にならないから……なのですが、最近では圧力釜の普及で、高標高地の山小屋などでもご飯が美味しく炊けるようになったんだとか。
上高地の標高だと、水の沸点は95℃。
……5℃しか変わらないというべきなのか、5℃も違うというべきなのか悩むところですが、例えばお茶を淹れる時など、お茶の種類によっては100℃のお湯が良いこともあるようなので、上高地で野外ティータイム!という計画を立てる方がいらっしゃいましたら、低めの温度で美味しく淹れられるお茶を選ぶのが良いかもしれません。
高いところならでは、なのかもしれませんが……標高も地域のアイデンティティのひとつ、という感覚があります。
標高1500mの上高地。
美しい雪山の景色、高原の植物たち、避暑地であることなどなど、標高由来の魅力が色々ありますので、ぜひ楽しんでいってくださいね。
さくら
決して低くはない標高1500㍍。なんかいつもと違う…と感じる人間もいるのに比べたら、そこで暮らす動物や野鳥は凄い❗と思います。
マシュマロ様
コメントありがとうございます。
上高地にはたくさんの渡り鳥もやってきますが、あの小さな体で…といつも感心します。
少しずつ生息圏を広げてきた適応力はすごいですね。
さくら
[…] 引用:標高1500mあれこれ […]