クリスマスと年末年始が迫ってきましたね。
上高地は休業中ですが、じつは同じ会社内にケーキ屋さんや飲食店、おみやげ屋さんなどもあるため、そちらの手伝いで忙しい時期に入ります。
ケーキが売れる時期といえば何と言ってもクリスマス!
でも実は年末年始も家族が集まったりするので、ケーキの需要があるんだそうです。
人が集まれるような年末年始かどうかはちょっとまだあやしいものの……お正月にケーキ、いかがでしょう?
松本市の近辺にお住まいの方は、五千尺のケーキブランド「5HORN(ファイブホルン)」もよろしくお願いします。
【冬の上高地・12月16日の様子】
さてケーキの話はこれくらいにして、まずは最新の上高地情報から。
12月16日の上高地です。
先日、11月29日にも上高地の様子を見に行きましたが、なんとその時より雪が少なかったそうです。
確かにここしばらく、松本市内も晴れて温かい日が続いていましたし、山も綺麗に見えていました。
気温も「手袋を外して撮影をしても問題ないくらいの暖かさ」だったとのこと。
こちらは河童橋の横にあるザ・パークロッジ上高地。
ちょっと雪が融けている感じがあります。
ただ天気予報を見ると今日からは荒れ模様のようで、またあっという間に雪に埋もれてしまうのかもしれません。
一日で景色ががらっと変わってしまうのは自然のすごさであり、おそろしさでもあります。
※上高地は、11月16日~4月16日まで冬期閉山期間中です。
雪崩などの危険がありますので、入山をお考えの方は上高地公式ウェブサイトにて「上高地冬期入山ルール」を必ずご確認ください。
【上高地コラム・上高地の蝶の越冬】
さて今回の上高地コラムは、上高地の生き物たちの冬越しについてご紹介します。
昨年1月のブログでは鳥と哺乳類の越冬についてお話ししましたので、今回はもっと小さな生き物、蝶についてです。
上高地にはたくさんの蝶がいます。その数70種以上。
夏などの花が多い時期に飛んでいるイメージがある彼らですが、当然のことながら冬の間も何かしらの形で生きています。
そうでないと、四季が巡る中で子孫を残していけませんからね。
蝶は一生のうち、卵→幼虫→蛹→成虫と姿を変えていきますので、このどれかのタイミングで冬を越さなければなりません。
どの状態で越冬するかといえば……それは、蝶の種類によって違います。
●卵越冬
卵のうちはものも食べないですし殻がありますし、冬を越すのに良さそうかなという感じもするのですが、意外とそこまで多数派ではないようです。
代表的なものは「シジミチョウ」の仲間。写真がなくて申し訳ないのですが、低地の河原などでもよく見かける、小ぶりでちょっと丸っこい蝶です。
上高地ではミドリシジミやカラスシジミなどが卵の状態で越冬します。秋のうちに木の枝に産んだ卵が、春の芽吹きの頃に孵化します。
●幼虫越冬
意外と多いのが、いわゆる「いもむし」の状態で冬を越す幼虫越冬。
上高地はコムラサキやセセリチョウの仲間などが該当します。
こちらはコムラサキ(小紫)。
そしてこちらはオオチャバネセセリ(大茶翅挵)。
樹皮の隙間などに隠れて冬を越します。
暖かい地域では、冬の間も餌を食べたりするものがいるようですが、上高地の冬に食べるものはほどんどありませんので……基本的には何も食べずにじっと春を待ちます。
むしろ越冬している幼虫が、鳥などにとって貴重な餌になってしまいがちです。
●蛹越冬
続きましては蛹(さなぎ)で冬を越すタイプ。
上高地にいるものでは……
カラスアゲハ(烏揚羽)や
サカハチチョウ(逆八蝶)などがいます。
春になったからといってすぐに羽化するわけではないようで、上の2種も上高地で蝶を見かけるようになるのは夏になってからです。
●成虫越冬
そして、蝶の姿のまま冬を越す「成虫越冬」。
キベリタテハ(黄縁立羽)や
コヒオドシ(小緋縅)などが代表的です。
春先によく飛んでいるのを見かけるのですが、なにしろひと冬を越した後なので、翅がぼろぼろになっていたり色あせていたり、苦労の跡が見えます。
●移動する蝶
そしてちょっと変わり種は、移動する蝶です。
まるで鳥のように、夏は北へ、冬は南へ「渡り」をすることで知られるアサギマダラ(浅葱斑)。
行程があまりに遠大すぎて、まだ最終到達地すらはっきり分かっていない彼らの旅ですが……上高地では初夏から初秋にかけて姿を現します。
そしてもう一種。
こちらはミドリヒョウモン(緑豹紋)です。
図鑑などによれば、夏の暑い時期には「夏眠」をして活動を休止する、または標高の高い場所へ移動するため姿を見かけなくなる……とのことですが、上高地ではむしろ夏の蝶です。
冬の上高地に足を踏み入れると、こんなところで生活している生き物がいるなんて……!と思ってしまうほどの厳しさですが、小さな虫たちも様々な方法で上高地の冬に立ち向かっています。
彼らにまた会えるのは暖かくなってからですが、見かけましたらぜひ冬の生活についても思いを巡らせてみてください。
【上高地自然講習会&冬期オンラインガイドツアー開催!】
今回の蝶のお話は、2019年度開催の「Discover Kamikochi~上高地を学ぶ~」鳥と動物の回より抜粋でした。
講習会は今年も講評開催中。次回は1月16日(日)、テーマは「上高地の鳥と動物」です。
また1月10日(月祝)には「上高地オンラインガイドツアー特別編:冬の上高地」も実施予定です。
皆様のご参加をお待ちしております!
★上高地オンラインガイドツアー【冬期】
YouTube Liveにてどこからでも上高地を楽しめる「上高地オンラインガイドツアー」、冬期の開催が決定しました!
配信は1月10日と2月13日。2週間のアーカイブ配信も視聴可能です。
詳しくは[こちらのページ]をご覧ください。
11月7日実施分の冒頭10分間を無料公開していますので、こちらもご覧ください!
★Discover Kamikochi~上高地を学ぶ~
ガイドとじっくり自然を学ぶ、座学の講習会。松本市での対面講習とオンライン講習を同時開催します!
12/12「上高地の花」、1/16「上高地の鳥と動物」、1/30「上高地の樹木」、2/6「上高地の歴史」、2/20「上高地の歩き方」の全5回。
時間や料金、参加方法など詳しくは[こちらのページ]をご覧ください。
昨年実施分の冒頭30分無料動画も公開中!
皆様のご参加をお待ちしております!
さくら
★ネイチャーガイドFIVESENSEのYouTubeチャンネルはこちら★
コラムの内容とはずれてしまいますが…今朝の読売新聞に、信州大学の研究チームが上高地で冬を越すニホンザルのふんを調べたところ、水性生物のDNAが見つかった、との記事が出ていました。
さらなる研究が必要とのことですが、上高地に精通されているガイドの皆様は、どう思われますか?
マシュマロ様
コメントありがとうございます。
該当の記事、ガイド間でも話題になっていました。
徳沢あたりでは秋に梓川の水位が大きく下がるため、水溜まり状に取り残された場所の魚をサルが食べているという話は聞いたことがありました。
ですから魚を食べ物として認識はしているのだろうと思います。あとはどうやって捕まえているかですが……まぁ上高地の魚はちょっとのんびりしたところがあるので、意外とどうにかなるのかもしれません。
冬の間のできごとということなので簡単には見られないかもしれないですが、いつか捕獲シーンも見てみたいです。
さくら
[…] Nature Guide Five Sense Kamikochi blog: https://fivesense.guide/blog/column/32312/ […]