皆様こんにちは。ネイチャーガイドファイブセンスの「さくら」です。
上高地の冬期休業中は、毎週金曜日に「上高地コラム」を更新しています。
上高地の閉山から早くも10日が経ってしまいました。
松本市内から見上げる北アルプス方面(「西山」と呼ぶこともあります)はここ数日どんより雪雲に覆われていて、きっと真っ白になりつつあるんだろうなと思いながら見ています。
さて今回は「上高地シーズンを振り返る」後編。4月から始まった上高地シーズンの後半、8月~11月を写真で振り返っていきます。。
前回更新分、4月~7月の前編は[こちらのリンク]からご覧ください。
【8月の上高地】
8月初旬の田代湿原の様子です。
最高気温は25℃前後で、まぁ例年並み。飛びぬけて暑い感じはありませんでした。
5月の雨でちょっと遅れていた花の季節もこの頃にはあらかた戻り。蝶や鳥もたくさん見かけて賑やかな季節になっていました。
昨年2020年は8月頭まで梅雨が続いていましたので、今年は早く梅雨明けして良かった!……と、上旬までは思っていました。
8月13日、雨量規制により県道上高地公園線通行止め(今年2回目)。
梅雨が明けるのが早いと思ったら秋雨前線が早く来るというパターンでした。
先週のブログでも「年に1~2回は通行止めがある」と書いたとおり、通行止め自体はそれほど珍しいことではありません。
山なので当然、大雨も降ります。
でもよりによってお盆に大雨はやめてほしかった……!
なぜか意外に思われることもあるのですが、上高地、ばりばり観光業で成り立っていますので……お盆は大事な書き入れ時なんです。
お盆休みにご旅行を楽しみにしていらした方も多いところ大変申し訳なかったのですが、8月16日の朝までは上高地への立ち入りができませんでした。
まぁ何はともあれ雨も止み、無事の開通です!
通行止めの可能性がある場合、直近2~3日くらいのご予約の方には状況を個別にご連絡していますので、開通が決まった段階で「すみませんご心配をおかけしましたもう大丈夫です!」と勇んでお電話したのですが。
「いや、どうやら大変なようですし安全面も考えて今回は旅行を取りやめます」とのお返事が妙に多く、あれ? なんだろうこの温度差は……と思っていたら。
松本電鉄上高地線の田川橋梁が川の増水で傾いてしまい、それが全国的にかなり大きく報道されていたとのこと。
どうやらこの雨、上高地の中よりも、下流や街に近い周辺地域の方が影響が大きかったようでした。
松本電鉄上高地線は、松本市街から上高地へ至る道中にある鉄道で、シンボル的に上高地の名前が使われているものの、実際には上高地から30kmほど下ったところにあります。
これが一時不通になり、すぐにバスによる代替輸送が整備されはしたものの、橋梁の復旧はかなり先になりそうだと当初から言われていました。(先日、来年6月に運行再開を目指すというニュースが出ましたね。開通目途がどんどん前倒しになっていて関係者の方の努力がしのばれます)
ここから来る「どうやら上高地は危ないらしい」というイメージはこの後も意外と尾を引き、感染拡大もあいまって、8月下旬から9月にかけての上高地は本当に静かでした。
8月末の上高地、一番賑わっているはずの河童橋の風景です。
この時期にいらした方は、夏の上高地をゆったりと味わえて幸運だったかもしれません。
【9月の上高地】
まぁ人間がどういうつもりでいようと、季節は進んでいきます。
とはいえ今年の9月は暖かかったです。9月7日に朝の気温が9℃まで下がったものの、その後も朝10~15℃ほどの、夏並みの気温が続いていました。
紅葉・黄葉の進みもかなりゆっくりでした。
こちらは9月9日の穂高連峰。
そしてこちらは9月30日の穂高連峰。
山の中腹が、緑から黄色に変わっていっているのが分かるでしょうか。
こちらは9月25日の田代湿原。ところどころでは赤い色が目立ってきていました。
ベニテングタケ(紅天狗茸)。
カンボク(肝木)。
きのこや秋の実りなど、何かと目に楽しい季節です。
【10月の上高地】
今年の初霜は10月3日。朝の気温は5℃でした。
9月中に霜が降りなかったのはここ15年では2度目で、おそらくそれより前にさかのぼってもないのではないかと思います。
10月8日、ススキの穂が美しい岳沢湿原。
10月18日~19日にかけて、穂高連峰が初冠雪。
10月20日には上高地も初雪。
こちらは10月21日の写真です。
雪が降った直後の山は美しいですね。
本来、この前くらいにピークがあるはずのカエデなど広葉樹の紅葉/黄葉は、今年はあまりはっきりしたピークがなく、暖かさのせいで色づきあぐねているうちに枯れ始めてしまった印象でした。
その点カラマツは、本来10月20日頃から始まるはずの見頃ピークが11月にずれこみはしたものの黄葉自体のハズレはなく、観光事業者からするとかなりありがたい色づき方でした。
【11月の上高地】
いつもなら11月は散っていく一方のカラマツの黄葉ですが、今年はむしろ11月からが本番でした!
お天気もよく、朝の冷え込みも控えめで、散策しやすい気候だったのではないかと思います。
個人的にはもう少し霜が分厚く降りる方が秋らしくて綺麗かなとも思うのですが、……そうなると本当に、痛いくらいに寒いですからね!
とはいえさすがの11月、ひと雨降ったら一気に葉が落ちてしまいました。
毎年この量の葉が落ちたりまた生えたりするかと思うと、果てしなさを感じます。
そして11月15日、閉山。
毎年違う顔を見せてくれる上高地ですが、こうしてまとめてみるとよりそれを実感します。
来年もまた、新しい風景を見られるのが楽しみです。
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さくら
当然の話ですが、上高地も地球温暖化の影響は避けられない、ということでしょう。10年位のスパンで考えれば、次の世代には上高地の風景が一変してしまっているのかもしれません。影響を最小限に抑えるためにも、生活の中で何が出来るのかを真剣に考えなければいけないのでしょうね。
コメントありがとうございます。
雪のあるところは、気候の変化が目に見えてわかりやすいかもしれません。
洪水や土砂崩れや火山など、地形的にもともと変化の多い土地柄ではありますが、人の影響は最低限であることを願います。
さくら
[…] the second installment of our retrospective, thanks in large part to the efforts of the bloggers at Five Sense. So big props to them as […]