今回も2月24日(月祝)開催の講習会より、内容先取りでご紹介します。
テーマは大正池。
1915(大正4)年の焼岳の噴火で、梓川がせき止められてできたのが大正池です。
その時に水没した森が「立ち枯れの木」として有名になりました。
枯れてから100年以上が経った今では枯れ木のほとんどが倒れてしまっています。
……と、有名なところだけ書いても短期間でものすごい変化をしている大正池ですが、細かく見ていくとさらに頻繁に変化を繰り返しています。
池ができて10年ほどの間にも、せき止められた堤の一部が切れたり、逆に土砂崩れで新たにせき止められたりと、大きさが刻々と変わっています。
とはいえ、全体的には縮小傾向。なぜなら上高地という盆地自体が、周囲の山からの土砂が湖の底にたまってできた平地です。だんだんと埋まっていくのは、もはや宿命のようなものなんです。
2007年、焼岳中腹から見た大正池の写真です。
赤い丸で囲ったのが大正池(ひょうたん型をしています)。
そして黄色い丸で囲ったのは、霞沢岳から流れ込む「中千丈沢」が運んできた石のたまり場です。
「中千丈の押し出し」などと呼ばれます。
2009年、同じ場所の写真がどうなっているかというと……
こうなっていました。
中千丈の押し出しがぐっと広がっているのが分かるでしょうか?
勿論、大正池に砂を流し込む沢はこの中千丈沢だけではありません。
なんせ、上高地は谷底ですからね……。周囲の山からの土砂は全て上高地に向かってきます。
そんな中で大正池が今も池の姿を保っていられるのは奇跡のように思えるのですが、……実際には奇跡ではなく、人の手によるものです。
大正池の池尻は今、このようなゴム製(正確にはゴム引きの布)の堰堤によってせき止められています。
……白く見えますけど、黒いゴムです。雪に埋もれているだけです。
空気を抜くとこれが下がり、水が流れ出す仕組みです。
ここで水位を調整し、取水された水は霞沢発電所に送られて発電に使われます。
松本方面から上高地にいらしたことのある方は、沢渡の付近で、山肌を縦に走る2本のパイプを見たことがあるでしょうか? あの中を、大正池からの水が流れ下っています。
この発電所の運用が始まったのは1928(昭和3)年。
実はこの前年、昭和2年には既に、大正池の面積は出現当初の半分以下にまで小さくなってしまっていました。
発電のために堰を補強して池の大きさを回復し、その後も流れ込む土砂と戦い続け、1977(昭和52)年からは土砂を掻きだす浚渫工事を毎年行い、ようやく大正池が池として保たれています。
つい先日、2月4日の大正池です。
自然はダイナミックに動き、そこに様々な人の手が関わる中での、一期一会の風景です。
上高地の開山まで残り2ヶ月。開山したら、ぜひ今だけの大正池を見に遊びにいらしてください。
さて、実は大正池ができる以前にも、上高地では似たような歴史が繰り返されていて……。
と、この続きは、2月24日(月祝)の講習会で。
講習会のご予約は予約フォームから受付中です。皆様のご参加をお待ちしております!
講習会「DISCOVER KAMIKOCHI~上高地を学ぶ~」
【開催日程】
第四回「上高地の歴史」:2020年2月24日(月・祝)
第五回「上高地の歩き方」:2020年3月1日(日)
※各回の内容は独立しておりますので、1回からご参加可能です。
【スケジュール・参加費】
第四回
10:30-12:30 ビギナー講習(各回2,000円)
14:00-15:30 ステップアップ講習(各回1,500円)
第五回
10:30-12:00 ビギナー&ステップアップ講習(1,500円)
12:15-14:45 懇親会(1,500円)
※参加費は全て税込み/当日現金精算です。
※懇親会費には5HORN Diningでの昼食代を含みます。
※ビギナー講習は昨年までの内容をまとめたもの、ステップアップ講習は新規の内容です。
【会場・アクセス】
講習会:信毎メディアガーデン 3階スタジオ
JR松本駅から徒歩約8分
懇親会(第五回のみ):5HORN Dining(松本PARCO 1階)
JR松本駅から徒歩8分
【申し込み方法】
お電話でのお申込み・お問い合わせ:
080-8808-5466にお電話いただき、「講習会参加希望」とお伝えください。
インターネットでのお申込み:
予約フォームからお申込みください。
インターネットでのお問い合わせ:
お問い合わせフォームからお問い合わせください。
※ご予約推奨、空きがあれば当日参加可(定員40名様)です。
さくら