上高地から見えるのは普段、こういう「山を見上げる」景色ですが…
逆に山から上高地を見下ろすと、こんな感じに見えます。
今日はそんな上高地の地形と、どうやってこの山奥にやってくるのか?というお話です。
上高地内の位置関係はこんな感じ。右手の山のさらに右側(南側)は松本盆地方面、左手の山の稜線を越えると岐阜県です。
ちなみにこの写真は焼岳から撮影しています。
周囲はご覧の通りかなりの傾斜なんですが、梓川の周辺は平らな土地になっています。これが、一般に上高地と呼ばれるエリア。
山の中の川は普通、どんどん削られて深いV字の谷になっていくのですが、ここはせき止め湖になっていたおかげで削られず、どころか周囲から流れてきた石や砂が湖底に堆積して、こんな平地ができました。
とはいえ、平らなのはその湖(古上高地湖といいます)があった部分だけ。
上流や下流はセオリー通りに急な谷なので、川に沿って移動するのは容易ではありません。
それでも人間はすごいです。急な川沿いに道を通しトンネルを開け、今では市街地からバスでここまで来られるようになりました。
上高地の入り口にトンネルが開通したのは、昭和初期のこと。
それ以前はというと…
……角度の関係でちょっと見えていないのですが、右手にある「六百山」の奥側で矢印のように山を越えて、上高地にやってきていました。
峠の名前は徳本峠(とくごうとうげ)。上高地で有数の難読地名です。
麓にある島々(しましま)から徳本峠までは約8時間、さらにそこから下って上高地の明神地区にたどり着くのに約1時間半。
今でも歩くことができる風情ある登山道ですが、まぁ長いです!
上高地に人が入った記録があるのは江戸時代からですが、その頃の人たちはこの峠を歩いて上高地、今でいう明神地区にたどり着いていました。
明神池周辺は徳郷(とくごう)とも呼ばれ、当時の上高地の中心地でした。
上高地に入るメインルートの終着点ですから、中心地だというのもうなずけます。
河童橋はまだ架かっていない時代、この辺りには、上高地唯一の橋「与九郎橋」があったそうです。
河童橋は初代の吊り橋が明治43(1910)年、その前身である刎橋(はねばし)も明治に入ってから架けられたと言われていますが、与九郎橋は江戸時代には既に存在し、天保6(1835)年には改修されて「与九郎大橋」と呼ばれるようになっています。
今となっては河童橋がすっかり上高地の中心地になっていますが、そうでなかった時代の姿も、ちょっと見てみたかったような気がします。
時代とともに変わっていく上高地ですが、今も地名や道などに、かつての名残を見ることができます。
風景を見るばかりではなくたまにはちょっと趣向を変えて、上高地の歴史散策、いかがでしょうか?
さて今回のお話は、2月24日実施の講習会「Discover Kamikochi~上高地を学ぶ~」第四回、「上高地の歴史」より先取りでお届けしました。
この他にも、山岳観光地としての歩み、牧場や林業・農業がおこなわれていた頃のお話、さらに遡って地質や地形の成り立ちなどなど、盛り沢山でお届けする予定です。
講習会のご予約は予約フォームから受付中です。皆様のご参加をお待ちしております!
講習会「DISCOVER KAMIKOCHI~上高地を学ぶ~」
【開催日程】
第四回「上高地の歴史」:2020年2月24日(月・祝)
第五回「上高地の歩き方」:2020年3月1日(日)
※各回の内容は独立しておりますので、1回からご参加可能です。
【スケジュール・参加費】
第四回
10:30-12:30 ビギナー講習(各回2,000円)
14:00-15:30 ステップアップ講習(各回1,500円)
第五回
10:30-12:00 ビギナー&ステップアップ講習(1,500円)
12:15-14:45 懇親会(1,500円)
※参加費は全て税込み/当日現金精算です。
※懇親会費には5HORN Diningでの昼食代を含みます。
※ビギナー講習は昨年までの内容をまとめたもの、ステップアップ講習は新規の内容です。
【会場・アクセス】
講習会:信毎メディアガーデン 3階スタジオ
JR松本駅から徒歩約8分
懇親会(第五回のみ):5HORN Dining(松本PARCO 1階)
JR松本駅から徒歩8分
【申し込み方法】
お電話でのお申込み・お問い合わせ:
080-8808-5466にお電話いただき、「講習会参加希望」とお伝えください。
インターネットでのお申込み:
予約フォームからお申込みください。
インターネットでのお問い合わせ:
お問い合わせフォームからお問い合わせください。
※ご予約推奨、空きがあれば当日参加可(定員40名様)です。
さくら