上高地の開山まで、いよいよ二か月を切りました!
今回の「上高地コラム」では、先日実施しました「上高地を学ぶ」講習会の内容より、「花から実への変化」をお届けします。
花が咲くのは、花粉のやりとりをして実を結び、子孫を残すため。ということは当然、花はやがて実に変わっていきます。(余談ですが、植物が実を結ぶことを「結果」と言います。そう、resultの意味の「結果」の語源ですね)
今回は上高地の代表的な植物二種で、花から実への変化を追ってみたいと思います。
まずは上高地の春のアイドル、ニリンソウ(二輪草)。
普通は白い花ですが時々緑色のものがあり、見つけると幸せを呼ぶなんて言われています。
実というのは、めしべの根元にある「子房」が変化したものです。
一枚目の写真で花の中央にある黄色いめしべが、だんだんとふっくらしてくる様子がわかるでしょうか?
ちなみにニリンソウの花は、日が当たっている時間帯にしか開きません。これは、夜露や雨から花粉を守るため。
実ができ始めると花粉を守る必要がなくなるので、開閉する動きが止まります。
続きましてはカラマツ(落葉松)。
秋の黄葉が有名ですが、春にはちゃんと花を咲かせています。
カラマツは雄花と雌花が別々につきます。一枚目の写真、クリーム色の丸いものが雄花、ピンクがかったパイナップルのような形のものが雌花です。(ちなみに英語のpineappleは、元々まつぼっくりを指す言葉だったそうです)
花の頃からまつぼっくりを思わせる形をしていて、それがだんだん大きくしっかりしてきます。
種があるのは、鱗片(うろこ状の部分)の間。
カラマツはニリンソウと違い「裸子植物」で、種のもとになる「胚珠」が包まれておらず、露出したまま成熟していきます。
ちなみに、一枚目の写真で既に完成したまつぼっくりが写っているのがわかるでしょうか?
四枚目の写真でも、左の三個と右の二個で色が違います。
カラマツのまつぼっくりは翌年以降も枝に残るため、このような年の違うまつぼっくりが並ぶことになります。
花を見つけるのはなかなか難しいですがまつぼっくりは見つかりやすいので、ぜひ注目してみてください。
花や実には、植物の繁殖の工夫が詰まっています。
花盛りの瞬間だけではなく、その後の変化も楽しんでくださいね。
さくら