今週末、3月2日(日)は上高地講習会「Discover Kamikochi~上高地を学ぶ~」の開催日です。
この冬の講習会はいよいよ最終回。皆様ふるってご参加ください!
テーマは「上高地の歴史」。
今回のブログでは、講習内容の中からちょっとだけ先取りでご紹介します。
午後の部[バラエティ]の「上高地の歴史小ネタ集」より、
「上高地はなぜ上高地という名前になったのか?」です。
【上高地のコウチとは?】
「コウチ」は川沿いに開けた平地を指す言葉で、このような地形にコウチ(またはカワチ、カッチなど)という地名がつく例は全国で見られます。
上高地の地形も上から見てみると…
このように梓川沿いに開けた平地の形をしており、これがコウチの名前の由来になったのではないかと言われています。
今では「高地」の字をあてていますが、もとの意味としては「河内」が近いようです。
【上高地のカミとは?】
江戸時代の上高地は、松本藩による木材の伐採が行われていました。
まだ自動車もトンネルもない時代。
木こりたちは春になるとふもとの集落から山を越えてやってきて、上高地に小屋を構えて木を伐り、秋になると梓川を使ってその木を運ぶ、という生活をしていました。
この木こりたち、松本藩から伐採を請け負っていた「御用杣(ごようぞま)」とよばれる人々で、松本藩からお米やお金でお給料を受け取っていました。
そしてその切り賃は木を切る場所によって違い、今の「上高地(上河内)」とそれ以外の「下山(しもやま)」で区分されていたんだそうです。
さきほどの写真で言えば…
梓川沿いのこの谷の中が上高地、外側は下山。
この「上」「下」の区分が、上高地の「カミ」の由来ではないかとされています。
ちなみに切り賃は、平地で作業がしやすい上高地の方が安かったんだとか。
とはいえ、作業の容易さ、梓川を使ってその木を運ぶのにも別途運び賃が出たこともあり、上高地で木を切る杣は多かった(年間約200人!)ようです。
江戸時代の終わりころにはかなりの木が切られていたそうで、おそらく今とは全く違う風景だったでしょう。
【上高地の色々な漢字表記】
上高地の伐採事業は松本藩によって管理・監督されていたため、藩の文書の中に地名が残っています。
古くは、1694(元禄7)年に盗伐があったという記録も。
松本藩の文書では、元々は「上河内」という表記だったようですが、文化・文政年間(1804-1830頃)を境に「上高地」という字に変わっており、この理由は分かっていません。
また、1724(享保9)年の「信府統記」では、「上河内」表記のほか、今の明神池の周辺を「神合地」としています。
昔の話ですから地名の呼び名がそれほど厳格に統一されていたわけではなく、地元の人々は「カミウチ」「カミグチ」などと呼んでおり、それをもとに「上内」「上口」と表記したようなものも残っています。
信府統記で出てきた「神」の字を使うものも根強かったようで、「神垣内」や、現在では「神降地」なんて当て字もありますが、神を使うパターンで一番よく見るのは「神河内」でしょうか。
1849(天保14)年の「善光寺道名所図会」にも登場し、日本の近代登山の礎を築いた小島烏水がいち推ししていた表記でもあり、宿泊施設の看板などでも見かけることがあります。
ここまで多彩だと、どれを使うかはもはや好みの域である気もします。
歴史的な根拠や、風景の神秘的な雰囲気など、どこに納得感を見出すかは人それぞれで、それがまた、上高地の魅力の多彩さを表しているのかもしれません。
【講習会では色々な上高地の歴史エピソードを紹介!】
3月2日(日)の講習会では、今回紹介したような話題のほか、上高地の様々な歴史エピソードをガイド目線で紹介します。
地形のなりたちから近年の話題まで、上高地の歴史全体を知りたいなら午前の部[スタンダード]、今回紹介したようなエピソードをピンポイントにじっくり知りたいなら午後の部[バラエティ]。
長野県松本市での「対面講習」と同時に、YouTube同時中継での「オンライン講習」も開催いたします。
●対面講習
・10:30-12:30 午前の部[スタンダード] 各回2,000円
・14:00-15:30 午後の部[バラエティ] 各回1,500円
[対面講習予約フォーム]からお申込みください。
●オンライン講習(対面講習をYoutube Liveにて同時配信)
・10:30-12:30 午前の部[スタンダード] 各回1,500円
・14:00-15:30 午後の部[バラエティ] 各回1,000円
[オンライン講習予約フォーム]からお申込みください。
過去の講習の動画はこちらから一部無料でご覧いただけます。
皆様にのご参加をお待ちしております!
さくら
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※上高地は冬期休業中です!
2025年4月までの約5か月間、上高地は冬季閉鎖となり、ホテル・レストラン・バス等の営業もありません。
冬の上高地へお越しの場合は、雪崩や地吹雪の危険がある中での冬山登山となります。
冬山登山でのお越しをご検討の方は、必ず[上高地冬期入山ルール]をご確認ください。
なお上高地の冬期休業中も、こちらのブログ、およびSNS(x(旧twitter), instagram, YouTube)の更新は継続いたします。
リアルタイム情報の発信は月に一回程度となりますが、それ以外にもシーズン中の見どころや美しい風景などをご紹介していきますので、冬の間もぜひご覧ください。
また、冬期休業中のお電話および問い合わせフォームへの対応は、土日祝日をお休みとさせていただきます。
何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
【上高地ゆったりウォーク2025年度分の予約を受付中!】
2025年4月17日から始まる上高地シーズンの現地ガイド「上高地ゆったりウォーク」の予約受付を開始しました!
上高地をゆっくり歩きながら、風景・自然・歴史などをめいっぱい楽しむガイドウォークです。
詳細・ご予約はこちらから↓
皆様のお越しを、ガイド一同お待ちしております!
【上高地・冬の配信イベント】
●Discover Kamikochi~上高地を学ぶ~
今年の講習会も、松本市・信毎メディアガーデンでの「対面講習」と、WEB配信の「オンライン講習」を同時実施いたします。
今年度も昨年度に続き、全4回の実施です。
【講習スケジュール】
第一回「上高地の今」&懇親会 2025年1月19日(日)
第二回「上高地の花と樹木」 2025年2月2日(日)
第三回「上高地の鳥と動物」 2025年2月16日(日)
第四回「上高地の歴史」 2025年3月2日(日)
午前の部[スタンダード]では、それぞれのテーマの全般的な内容を網羅してお届けします(昨年までの午前の部と同内容)。
午後の部[バラエティ]では、リピーターの方向けに毎年内容を変え、ガイドならではの様々な切り口から上高地の自然をご紹介します。
※第1回講習は午前のみ(昨年とは別内容)で、午後は懇親会を実施します。
※懇親会のご参加は、今年度のいずれかの講習会にご参加の方に限らせていただきます。
過去の講習会のサンプル動画をこちらからご覧いただけます。
●対面講習
・10:30-12:30 午前の部[スタンダード] 各回2,000円
・14:00-15:30 午後の部[バラエティ] 各回1,500円
※第1回は午前の部のみ、昨年とは別内容
[対面講習予約フォーム]からお申込みください。
●オンライン講習(対面講習をYoutube Liveにて同時配信)
・10:30-12:30 午前の部[スタンダード] 各回1,500円
・14:00-15:30 午後の部[バラエティ] 各回1,000円
※第1回は午前の部のみ、昨年とは別内容
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●懇親会
・1月19日(日)13:00-14:30 ヴォーノ・ヴォーノ(松本市中央1-7-17 毛利ビル2F)
お1人様2,000円(パスタ+サラダ+ソフトドリンク代込み)
※当初の予定と懇親会会場、参加費が変更になっております。申し訳ありません。
※参加費は全て税込みです。
※対面講習は講習当日、現金/PayPayでのご精算です。
※オンライン講習はクレジットカード/コンビニ・ATM/PayPal・銀行口座振替での事前精算です。
冬期も、FIVESENSEのイベントへのご参加をお待ちしております。
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