上高地のサルは変わり者?遭遇した時の対処法とは

こんにちは。ネイチャーガイドファイブセンスの「なつ」です。
上高地の冬期休業中(11月16日-4月16日)は、毎週金曜日に上高地に関する様々な話題をコラム形式でお届けしていきます。

今回は上高地の「ニホンザル」についてご紹介します。
※写真はすべて離れた場所から望遠レンズを使用して撮影しています。

上高地のサルは変わり者?

上高地にはたくさんの生き物が生息していますが、その中でも特に遭遇しやすいのがサルです。
サルは上高地全域に250頭ほど生息しており、いくつかの群れにわかれて行動しています。
森や笹薮の中はもちろん、人の歩く遊歩道や橋、建物の周りでも見かけることがあります。
遊歩道を歩くサルの親子

上高地を毎日歩いているとよく見かける存在ではありますが、上高地のサルは、世界や日本の他の地域から見ると少し変わった存在です。

①世界のサルの中で最も寒い場所に住んでいる

実は、世界のサルの生息地の中で最も寒い場所は上高地なんだそうです。
というのも、世界のサルたちは熱帯を中心に生息している種類が多く、雪が降るような場所にはサルはほとんどいないため、そもそもニホンザル自体が世界から見るとかなり珍しい種類です。
ニホンザルの中で最も北に生息するのは「北限のサル」として有名な青森県・下北半島の個体群ですが、上高地の気温は北海道の釧路と同程度だと言われており、北限よりもさらに寒い場所です。
サルたちは基本的に一年中なわばりの中で生活しますので、上高地にいるサルは最低気温が-20℃になる厳しい冬も乗り越える強者たちです。

②サルの仲間では非常に珍しい「魚を食べるサル」

そんな過酷な環境で過ごすサルたちは、生き残るための手段のひとつとして、サルの仲間では非常に珍しい「魚を食べる」ことを覚えました。
普段は木の実や草、きのこなどを食べていますが、冬になるとこういった食べ物が少なくなるため、栄養価の高い魚を取って食べるようになったのではないかと言われています。
ただ、春や夏になってからも生きた魚を取って食べる様子が目撃されていますので、サルたちにとって魚を食べることは実際にどのような意味や目的があるのか、まだわからないこともたくさんあります。

③山岳地帯で暮らすサル

また、上高地は寒いだけではなく周りを山に囲まれているという特徴もあります。
上高地の中でも最も上流の横尾エリアに生息する群れは、夏の高山植物が芽生える時期になると標高2,500~3,000m近くまで登ることもあるようです。
平地や上高地で夏が近づいてくる頃、山の上ではようやく芽吹きが見られ、柔らかく美味しい植物を求めてサルたちの群れは移動します。

上高地のサルを含む生き物たちは、野生のまま自然に生きているからこそ、季節の移り変わりに合わせて様々な環境にたくましく適応しているんですね。

枝の上に座るサル

サルや野生動物との遭遇時に注意すべきこと

食べ物を与えない・落とさない

サルを含む上高地に住んでいる野生動物たちは、人の食べ物に餌付けされておらず、自然のままに生きています。
一度人の食べ物の味を覚えてしまうと、人間は美味しいものを持っている、という認識になり、食べ物を奪うために襲ってくるようになる可能性があります。
上高地内では、もし野生動物に遭遇しても絶対に食べ物を与えないでください。
また、食べ物やゴミはポイ捨てせず、基本的にお持ち帰りをお願いしております。

近づきすぎない

上高地の野生動物たちは基本的に、こちらから不用意に近づかなければ襲ってくることはありません。
ただ、自分たちのテリトリー内や自分の身に危険を感じる距離間に人間が踏み込んでくると、事故に繋がる可能性があります。
上高地で野生動物に遭遇した際は、刺激せず一定の距離を保って見守るようにお願いいたします。

また、上高地では人間とサルとの距離が近づきすぎないよう、従業員が定期的に「サル追い」を行っています。
建物や人が多いエリアに近づいてくるサルを森へ追い払うことで、サルと適切な距離を保ち、自然を守るための取り組みです。

11月から4月までの閉山期間中、私たち人間はふもとの街へ下りてきて生活をしていますが、多くの動物たちは夏の期間と変わらず厳しい冬の上高地で過ごしています。
そんな生き物たちの様子に思いを馳せながら、春にまた美しい自然の中で様々な動物や植物に出会えることを楽しみに思います。

なつ


※上高地は冬期休業中です!

2025年4月までの約5か月間、上高地は冬季閉鎖となり、ホテル・レストラン・バス等の営業もありません。
冬の上高地へお越しの場合は、雪崩や地吹雪の危険がある中での冬山登山となります。
冬山登山でのお越しをご検討の方は、必ず[上高地冬期入山ルール]をご確認ください。

なお上高地の冬期休業中も、こちらのブログ、およびSNS(x(旧twitter), instagramYouTube)の更新は継続いたします。

リアルタイム情報の発信は月に一回程度となりますが、それ以外にもシーズン中の見どころや美しい風景などをご紹介していきますので、冬の間もぜひご覧ください。

また、冬期休業中のお電話および問い合わせフォームへの対応は、土日祝日をお休みとさせていただきます。
何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

【上高地ゆったりウォーク2025年度分の予約を受付中!】

2025年4月17日から始まる上高地シーズンの現地ガイド「上高地ゆったりウォーク」の予約受付を開始しました!
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皆様のお越しを、ガイド一同お待ちしております!

【上高地・冬の配信イベント】

●Discover Kamikochi~上高地を学ぶ~

今年の講習会も、松本市・信毎メディアガーデンでの「対面講習」と、WEB配信の「オンライン講習」を同時実施いたします。
今年度も昨年度に続き、全4回の実施です。

【講習スケジュール】

第一回「上高地の今」&懇親会 2025年1月19日(日)
第二回「上高地の花と樹木」 2025年2月2日(日)
第三回「上高地の鳥と動物」 2025年2月16日(日)
第四回「上高地の歴史」 2025年3月2日(日)

午前の部[スタンダード]では、それぞれのテーマの全般的な内容を網羅してお届けします(昨年までの午前の部と同内容)。
午後の部[バラエティ]では、リピーターの方向けに毎年内容を変え、ガイドならではの様々な切り口から上高地の自然をご紹介します。
※第1回講習は午前のみ(昨年とは別内容)で、午後は懇親会を実施します。
※懇親会のご参加は、今年度のいずれかの講習会にご参加の方に限らせていただきます。

過去の講習会のサンプル動画をこちらからご覧いただけます。

●対面講習
・10:30-12:30 午前の部[スタンダード] 各回2,000円
・14:00-15:30 午後の部[バラエティ] 各回1,500円
※第1回は午前の部のみ、昨年とは別内容

[対面講習予約フォーム]からお申込みください。

●オンライン講習(対面講習をYoutube Liveにて同時配信)
・10:30-12:30 午前の部[スタンダード] 各回1,500円
・14:00-15:30 午後の部[バラエティ] 各回1,000円
※第1回は午前の部のみ、昨年とは別内容

[オンライン講習予約フォーム]からお申込みください。

●インターネットでのお問い合わせ:
[お問い合わせフォーム]からお問い合わせください。

●懇親会
・1月19日(日)13:00-14:30 ヴォーノ・ヴォーノ(松本市中央1-7-17 毛利ビル2F)
お1人様2,000円(パスタ+サラダ+ソフトドリンク代込み)
※当初の予定と懇親会会場、参加費が変更になっております。申し訳ありません。

※参加費は全て税込みです。
※対面講習は講習当日、現金/PayPayでのご精算です。
※オンライン講習はクレジットカード/コンビニ・ATM/PayPal・銀行口座振替での事前精算です。

冬期も、FIVESENSEのイベントへのご参加をお待ちしております。

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2025-02-21T11:37:03+09:002025-02-21|上高地コラム|
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