こんにちは。ネイチャーガイドファイブセンスの「さくら」です。

9月も終わりに差し掛かり、上高地では連日「もう秋だね」というような言葉が聞かれるようになりました。
朝の気温が5℃を切ったり、黄色い木の葉が増えてきたり……と様々なところで秋を感じられるようになっているのですが、おそらく今ひときわ目を引くのが、真っ赤な木の実たちです。
9月の上高地を歩いていて赤い木の実を見つけ、「これは何だろう?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、9月下旬の上高地で見られる赤い木の実の見分け方をご紹介します!

【上高地でよく見る赤い木の実】

上高地の赤い木の実その1:コナシ(小梨)-エゾノコリンゴ、ズミ

上高地の秋の木の実・エゾノコリンゴ

2025年9月23日に撮影したエゾノコリンゴ

河童橋、上高地バスターミナル、小梨平キャンプ場、田代橋付近などで見られます。
「コナシ」というのは方言名で、ズミのことをコナシと呼ぶことが多いですが、上高地ではズミとよく似たエゾノコリンゴが混在しており、どちらも「コナシ」と呼んでいます。
サクランボのような長い柄でぶらさがっていますが、実はサクランボのような柔らかさがなく、どちらかといえばリンゴのようにしっかりした固さです。
ズミよりもエゾノコリンゴの方が、実の柄の部分が長くなりがちです。

上高地の赤い木の実その2:カンボク(肝木)

上高地の秋の木の実・カンボク

2025年9月26日に撮影したカンボク

河童橋から徒歩1時間、明神館さんの前などで見られます。
コナシよりも実が密集し、30個以上がひとかたまりの房になって実ります。
透き通った赤色が美しいですが、味はかなりまずいんだとか。※上高地では採集禁止です!
葉っぱの形が、カエデのように三つに分かれているのも特徴です。

上高地の赤い木の実その3:カントウマユミ(関東真弓)

上高地で見られるカントウマユミの実

2025年9月23日に撮影したカントウマユミ

梓川沿いの遊歩道やキャンプ場など、日当たりの良い場所で見られる木。
ピンク色の殻がくす玉のように割れて、中から赤い種が顔を出しています。
樹高があまり高くなく、人の目の高さでたくさんの実を見られるのもおすすめポイントです。

上高地の赤い木の実その4:サワダツ(沢立)

上高地の秋の木の実・サワダツ

2025年9月19日に撮影したサワダツ

カントウマユミに似ていますが、殻の部分が分厚く、色もやや濃いです。
何よりも木が小さく、人間の腰の高さほどしかありません。
小梨平キャンプ場の奥や、河童橋-明神の左岸側(バスターミナル側の岸)遊歩道で見られます。

上高地の赤い木の実その5:イチイ(一位)

今週の上高地のガイドのおすすめ!野鳥たちが好んで食べるイチイの木の実

9月頃に撮影したイチイ

今まで紹介した中では最も実が小さく(7-8mm)、葉の中に紛れるように実っているため、これを見つけられた方はかなり鋭いです!
木の幹は赤く、枝がたくさん出て複雑な樹形になるのが特徴です。
赤い部分は甘いのですが、中に猛毒のタネが入っていますので、上高地以外で見つけても食べるのはおすすめしません。

【真っ赤な木の実の豆知識! なぜ赤い? 食べられる? 毒は?】

まず、上高地では木の実を含む全ての植物が採取禁止です。
また、そもそも森になっている木の実を食べるのは、毒があったり傷んでいる可能性もありますのでおすすめしません。
という前提を踏まえたうえでお読みいただきたいのですが……。

木の実が赤い色をしているのは、基本的には鳥や動物に食べてもらうためです。
派手な色で見つけてもらい、フンと一緒にタネを遠くに運んでもらうために、わざわざ目立つ色にしてあります。
というわけで、赤い木の実を見つけたら「この実は誰かに見つけて食べてもらうためのアピールをしているんだな」とわかります。
ただし、それが人間にとって食べられるものかどうか、美味しいかどうかはわかりません。
今回紹介したカントウマユミもそうなのですが、鳥や動物は食べるけれども人間にとっては毒、というものも多くあります。

また、鳥や動物にとっても、赤い実であれば全て美味しいとも限りません。
甘くしておいた方が早く食べてもらえるでしょうが、実の中に糖分をしっかり蓄えるのは、植物にとってもコストがかかりますし、虫やカビなど、タネを運ばない生き物に食べられてしまう可能性も上がります。
そのため、そこまでしっかり甘くしなくても、他の美味しい実が食べつくされた後ならば食べてもらえるので、それまで待つ、という戦略もあります。
今回は紹介しませんでしたが、やはり赤い実をつけるナナカマドは最初のうち毒がありますが、霜が降りると毒が抜けるんだそうです。

また、タネの準備が整っていない未熟なうちは食べられないように毒を持ち、もう食べて良いよ!のタイミングで毒がなくなる実も多くあります。

様々な戦略が隠されている秋の木の実。上高地へお越しの際は、木の実やそれを食べにくる生き物たちについてもぜひ思いを馳せてみてください。

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みどころ別上高地おすすめコース

皆様のお越しを、ガイド一同心よりお待ちしております!

【上高地の紅葉&黄葉リアルタイム情報2025~ハルニレも色づき始めました~】

既に色づいているシラカバに加え、ハルニレの葉がちらほらと色付き始めました。
まだ全体では1-2分ほどの色づきですが、これから冷え込みが厳しくなるごとに一気に黄葉が進んでいきます。

紅葉・黄葉の見頃は、このままのペースですとカエデ類は10月15-20日頃、カラマツは10月終盤-11月第一週頃になりそうです。
ただし、今後の気温や天気によってこれは大きくずれますので、情報はこまめにチェックしてください。
上高地の紅葉・黄葉の時期については下記ブログもご覧ください。

【上高地の気温・服装情報〜日中でも上着が必要です〜】

9月26日の気温は、朝14℃、日中で19℃。
朝晩はフリースが必要な気温になる日も多く、日中でも日陰ではウィンドブレーカーなどが手放せません。
例年、9月末に初霜が降りることが多いので、温かい格好でお越しください。

さくら


【上高地オンラインガイドツアー10月19日開催!】

ご自宅などどこからでも上高地のガイドを楽しめる「上高地オンラインガイドツアー」。
次回開催は10月19日、テーマは「実りの季節[徳沢エリア]」です!

●実施日時

10月19日(日) 15:00-16:15

※イベント内でご視聴いただく上高地散策映像は、配信日の1週間~10日前の撮影を予定しています。
※散策動画は50分程度、質疑応答の時間を含めイベント時間は1時間15分程度を予定しています。
※ライブ配信時刻にご都合のつかない方も、実施後7日間のアーカイブ(録画)配信を視聴できます。

●内容

上高地を実際に散策した映像を見ながら、ガイドの解説(風景、自然、歴史など)をお聞きいただけます。
YouTubeのチャットより、ガイドにその場で直接質問なども可能です。

※ガイドからの回答はチャットではなく音声での回答となります。
※チャット機能を使用するためには、YouTubeのアカウント登録が必要です。

●視聴方法

・事前申し込み等は不要です。配信期間中にNATUREGUIDE FIVESENSE公式YouTubeチャンネルよりご覧ください。
視聴リンクは[こちら]

 

上高地ネイチャーガイドファイブセンスYouTubeチャンネル

※ライブ配信は上記の配信日15:00-16:15、アーカイブ配信は配信から7日間ご覧いただけます。
※アーカイブ視聴中には、チャット経由のガイドへの質問はできません。

・ご参加には、パソコン又はスマートフォンなどの動画を視聴できる端末と、インターネット環境が必要です。
スマートフォンよりご参加の方は、事前にYouTubeアプリのインストールをしておいていただくと、当日のご参加がスムーズです。
・配信を視聴するための通信費は参加者様ご自身のご負担となります。

NATUREGUIDE FIVESENSEのメンバーシップチャンネルでは、2025年上高地オンラインガイドツアーのアーカイブ無期限視聴が可能なほか、2021年から実施した全ての上高地オンラインガイドツアー動画をご覧いただけます。

本日オススメの服装

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ガイドが教える上高地服装アドバイス
Published On: 2025-09-26Categories: 上高地紅葉&黄葉情報, 本日の上高地&服装

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